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ミッションは「食文化の新しい未来を共に創造」

2026.1 | コーポレート

活動スコープ 共創室に訊いた共創の楽しさと難しさ 目指す未来

Otafukuグループのさまざまな活動とそこに携わっている人をレポートする「活動スコープ」のコーナー。第三回は「共創室」を訪問します。社外・社内の多様なパートナーと「共創」することで、食の未来や新しい価値を創造するという使命を持った「共創室」では、今なにが進行中なのか。どんな思いで困難を打破しているのか。栗田さん、小針さん、田中さんにお話をお聞きしました。

メーカーや食品という枠を超えた
新しい事業を創生する

―共創室とはどんな部署ですか。

栗田:コロナ禍による社会や市場の大きな変化を経て、Otafukuグループ内でも新規事業への機運が高まり、2022年に設立されました(当初は共創課)。それ以前も、各部署で新事業や新商品を企画・開発していましたが、共創室は専任の部署として、新しい価値をつくり出すことと、社内にその環境をつくること、2つの役割があります。1つは、自分たち自身で新しい価値を見出し、それを社外や社内と「共創」し事業化すること。例えば、オタフクは液体調味料メーカーで、その分野に関する新商品はこれまでと同様にマーケティングや設計開発の部署などが取り組みますが、さまざまなルールに則って新商品を企画するため、そのルールの外にあるものには「手をつけにくい」という現状があります。共創室はそういった既存の範囲やルールにとらわれずに、新しいジャンルを切り拓いていくイメージです。もう1つは、共創室が窓口やハブとなって社内の各部署の新しい取り組みを繋いだり、事業化を手伝ったりして支援することです。

―設立当時、活動の方向性はどのように決めたのでしょうか?

栗田:当初は共創課として、私と小針の2名から始まりました。

小針:会社からは「将来の収益になる内容であれば、なにをしてもよい」と言われ、2人でかなり議論しましたね。

栗田:その後、私たちなりにまとめた活動内容案を社長や役員に報告した際に、期待されている内容とのギャップに気づきました。私たちはメーカーという認識にとらわれて「モノをつくる」ことを中心に考えていたんですね。でも「事業・サービスも含めてまったく新しい取り組み」を期待されていることを知って、そこで少し気が楽になりました。その後、外部の研修会に参加したり、さまざまな方とディスカッションしたり、視野や人脈を広げる活動をしながら、新しい事業の候補を探す日々が続きました。自社のリソースを見直したりもしました。

小針:これまでの社内でのチャレンジや継続できなかった事業も拾い直し、なんらかの理由で形にできなかったアイデアにも可能性があることに気づきました。

栗田:これまでチャレンジしてきたことを踏まえながら、社内のリソースを活かし、新しい事業に繋げていく。また新しいアイデアを持つ社員がチャレンジしやすい環境を整える。共創室の目指すべき道筋が見えてきました。

現場・現地・ひとに触れることで
課題やテーマに気づく楽しさ

―「共創」の楽しさや難しさを教えてください。

田中:私は2024年に共創室に配属されました。以前は、マーケティング部で国内向けの新商品の開発や販促を担当しており、すでに定まっているターゲットを意識する感覚が強くありました。共創室に来てからは「最初の制約がない」ということに驚きました。「なんでもやりたいことができる」という自由さや楽しさを感じながらも、一方でどこに焦点を定めたらよいのかという不安も感じていて。栗田さんと小針さんの姿勢を学んでいる毎日です。

栗田:企業にとって「事業の軸」、つまり「本業」を発展させながら持続することはとても重要ですが、一方で新しいことにもチャレンジしなければ、市場の変化とともにシュリンクしてしまうことが考えられます。「オタフク」ブランドの持続可能性という意味でも、これまでとは異なる新しいユーザー、新しい市場を開拓し続ける必要があります。その役割を担うことのできる「共創室」は、右往左往しつつも、自分たちが動いた一歩が会社の資産になるかもしれないという自負もあり、楽しくもありますね。
取り組んでみて気づいたのは、個人の興味のある分野・領域の方がアイデアを出しやすいことです。興味があれば気持ちも高まりますし「あれとこれを繋げたら事業になるかも」という自由な発想も生まれやすいので、まずは個人を起点にし、そこから共創していく方が取り組みやすいと感じています。

小針:さまざまな方とセッションをするなかで、自分に必要だと感じたのは「課題感の大きさを見出す」視点です。どんな人がなにに困っているのかを理解し、それを助けるためのサービスやモノを考えることで、生まれてくるものがあります。
農業法人様との調味料づくり(地域共創ハレノベジプロジェクト)でも、実際に農場を訪れ、生産者の皆様と対話することで、さまざまな課題を知り、「課題を解決する力になりたい、事業にしなければ」という使命感も生まれました。

栗田:やはり、実際に現地を見る、一次情報に触れることは大切ですね。現場・現地だから見えるものがあります。アウトドアブランドSnow Peak様とのコラボレーションは「アウトドアでの食をもっと楽しんでもらいたい」という、両社の価値観が一致して始まりましたが、実際に一緒にキャンプを体験することでたくさんの発見がありました。

小針:新潟や山口で一緒にキャンプをして、そこで広島お好み焼を焼きました。やってみると調理工程も含めてすごく楽しい。一方で、屋外で調理する難しさにも気づきました。せっかくの場で失敗すると楽しさも半減してしまう。どうすれば本格的でありながら、失敗しにくい環境がつくれるか。初挑戦を楽しめるか。議論をし続けて、コラボ製品が生まれましたね。

栗田:一つひとつ現場で考える。そこには手間も苦労もありますが、さまざまな人との体験を通じた「共創」から新しいなにかが生まれてくる。それは格別な楽しさでもあります。

新事業に社内の協力は不可欠
「共創」への共感も追い風に

―「共創」が現在、Otafukuグループのテーマにもなっています。それについて、どう感じていますか。

栗田:「食の未来を共創 ~共感・連携・イノベーション~」が中期経営計画のテーマです。私はポジティブに捉えています。新しいことを生み出すために、社外や社内に仲間をつくり、協力を得る際、会社として「共創」をメッセージとしていることで、説明の必要が少なくなりますし、社内を巻き込むような新規事業や「社内起業チャレンジプログラム」(後述)などの際にも、意義を理解されている分、取り組みもしやすいと感じます。

田中:私がマーケティング部から異動するタイミングで、そのテーマが掲げられたので、プレッシャーを感じました。しかし、以前から「(事業に)次の新しい柱が必要かもしれない」「この技術をもっと使えないだろうか」という思いもありましたから、自由度を高めたり、外部と関わったりすることによって、新しい価値をイメージしやすくなり、それに自分が携われるという期待感に変わっていきました。

小針:自由度が高いとはいっても、自分たちだけで実現・実行できる範囲は限られるので、社内の部署に頼ることは必須です。Snow Peak様とのコラボ企画でも、お好み焼課はもちろん、購買、設計開発、製造、物流、広報、ファンコミュニケーション課とほぼ全ての部署に相談させてもらいました。「共創」というテーマに共鳴してくれる人も多く、ありがたいと思いました。

―現在の活動の進行状況や、目指したい方向性を教えてください。

栗田:発表済みの事業としては前述の「地域共創ハレノベジプロジェクト」と「Snow Peak様とのコラボレーション」に加えて、「お好みソースを使ったハヤシ」と「マイコプロテインの事業化に向けたバイオベンチャーとの開発」の4例です。

「事業のたまご」のような案件は、現在十数件あり、そのうち、形になりつつあるものが数件程度です。
私が個人的にやりたいと思っているのは、糖質制限や、宗教上の理由など、さまざまな制限を持った方も安心して食べられるボーダレスフードを、お好みソースの原料でもあるデーツからつくることです。まだまだ研究段階ですが、機能性を持たせるなど、付加価値の高いものにしたいと模索しています。

田中:私は以前から、食物アレルギーに取り組むプロジェクトにも参加していますので、それをなにかに掛け合わせられないかと思っています。以前、アレルギー団体の方の講演会で、災害時の避難所では、アレルギー対応の食品かどうかの判断も不可能な混乱状態にあり「食べられるものがなにもなかった」という話をお聞きして、備蓄できるようなアレルギー対応食品をつくり、それだけではなく、たとえばローリングストックのためのサブスクリプションのような、浸透させるなにかしらの仕組みを実現したいと思っています。

小針:私もいろいろと取り組んでいますが、個人的にはお好み焼店様の活性化に繋がる取り組みは忘れてはならないと思っています。当社の営業担当者はもちろん現在まで継続して取り組んでいますが、共創室だからこそできることが必ずあると思っています。

社内外の多くの仲間と関わり
柔軟に対話する大切さ

―初挑戦には困難はつきもの。打破する際に心がけていることはありますか。

田中:なにかに挑戦する際に「あきらめない」という言葉を使うことが多いと思いますが、私は今、それに加えて「受け止める」大切さを感じています。社外・社内の方と一緒に新しいことに取り組んでいると、それぞれの組織のルールや大事にしている価値観に気づかされることが多くあります。それを壁や限界と捉えるのではなく、相手の事情や気持ちを受け止めて、前に進むために話し合う。それがとても大切だと感じる瞬間が多いです。「あきらめない」という言葉の裏にある「受け止める」ことで、話し合いをよい方向に進められれば、と思っています。

小針:共創室の仕事で一番難しいのは成果が見えにくいことです。営業担当だったときには、成果は数字として出るのでわかりやすかった。もちろん、スケジュールを組んで、タスクをきちんと進めていくことでも達成感は得られると思いますが、それにまだ苦戦しているからそう感じるのかもしれませんね。今は、それぞれの案件に関して、自分の手元に置いておく時間をなるべく短くするということを心がけています。共創室のみんなや上司に協力してもらいながらですが。

栗田:共創室の仕事で、とても大事だと思っているのは、社内外に「どれだけ仲間をつくれるか」です。仲間が多いほど、壁にぶち当たったときにクリアできる確率が上がると思っています。そして、できれば協力者とお互いにメリットが生まれればよいと考えています。

「共創」の文化を社内で醸成する
新制度が発足

―新規事業の企画を募集する「社内起業チャレンジプログラム」が始まったそうですね。

栗田:「Otafukuグループで新たな価値を生み出すためにはアイデアの種と土台となるチャレンジを継続する組織風土が必要」というコンセプトのもとに始めた制度です。新しいアイデアを持つ社員が立候補し、プログラムに参加、最終的には数名を選考して実行してもらうという取り組みです。これまでアイデアワークショップを2回実施し、合計で74名の社員が参加しました。

田中:参加者に話を聞くと、これまでアイデアを持っていても、それを表に出せなかったという人が多いことを感じました。また、若い社員は情報収集力に長けてることに気づかされます。この制度でさまざまなアイデアと可能性のある人材が生まれると、今以上に自己実現がしやすい会社に近づくのではないかと思いました。会社のリソースを活用しながら、やりたい新事業に取り組めるようになる。それはすごくよいことだと思いますし、仲間が集まることに期待しています。

小針:新しい事業は「個の力」といいますか、やりたい思いが強くないとできないことが多いので、それだけのパッションを持った方が活躍することに期待しています。

栗田:このプログラムが根付いていくと、将来の共創室は新しい事業を生み出すセクションと、事業を育てていくセクション、またオープンイノベーションとして協業や投資を行うセクションの3つに分かれていくだろうと思っています。その頃には、なにか新しい事業をしたいというときは「共創室に相談すれば安心」という流れになるかもしれないですね。

―過去の経験が今の仕事に生きていると思うことはありますか?

小針:私は愛媛と東京で合計9年、営業を経験しました。お客様目線をいつも意識するように心がけています。また、新しいなにかを生み出したあと、それを売ることまで常に考えるようにしています。商品・サービスの価値や売る方法などについて営業担当者に相談すると、現場の声を聞けるので、とても助かっています。

田中:私は工場、開発、マーケティングを経験し、社内で相談しやすい関係を構築できたと思っています。また、「誰に向けてなにをつくるか、どういう流れで製品化するか」という商品を企画するノウハウは身についていると思いますが、それが新しい事業に活かせる場合と、固定概念になって障害になる場合の両方を感じています。さきほどの「受け止める」という話にも繋がりますが、過去に経験したパターンで突っ走ると、この案件ではもっと丁寧に進めるべきだった・・・ということもあり、ケースに合わせて進め方を学んでいるところです。

栗田:私はIT企画に2年、人事で5年、経営企画で2年という経歴です。スタッフ職で現場での経験はありませんが、全体を俯瞰で見る感覚は強いと思います。共創室に配属されてから、現場で初めて商品のつくり方、売り方などを知り、吸収しています。それを全体最適に落とし込んだ視点で考えられる意味では、経験が役に立っていると思います。例えば「社内起業チャレンジプログラム」は人事の経験があるからこそ可能になった取り組みだと思います。また、共創室は3人が異なる分野を経験しているからこそ、お互いの専門的な知見を活かすことで、バランスがよくなるという面も感じています。

ワクワク感のある
継続可能な事業を生み出したい

―これからの目標を教えてください。

田中:今のオタフクは「ソースの会社」というイメージが強いかもしれませんが、将来的には事業領域を広げ、食品という枠も超えて、それにワクワクしながら社員が関わっている。そういう部署、会社になればいいなと思っています。

小針:共創室が新設され、私の配属が決まった際に、社長から「みんなが行きたくなるような部署にしてほしい」と言われました。だからワクワクする気持ちを大事にしたいと思いますし、一方で「ちゃんと利益の出る事業にする」という観点も必要ですので、その両方をしっかりと追求していきたいです。

栗田:私はOtafukuグループの成長に寄与できるようにしていきたいです。そのうえで、共創室が重要な役割を担えるように体制も整備していきたいです。新しい事業を生み出して、そこから収益を得たり、売上規模を拡大したりしようとすると、やはりある程度の人員が必要だと思いますし、きちんとした組織体を形成していく必要があると思っています。「共創室に相談すれば、新しいアイデアを実現できる」という数年後の理想形を逆算しながら組織体の整備を進めていきたいですね。

もと倉庫をリノベーションして生まれたオフィス空間、Otafuku Borderless Baseにて。共創室に加え、国際事業本部、IT推進部が机を並べている。この拠点から共創室の3名は、社外・社内との共創を目指して、日々新たな取り組みを模索中。これから生まれてくる新しい商品・サービスに期待が高まります。
栗田 翼
2013年入社。IT企画、人事、経営企画を経て2022年より共創課へ配属。2024年より現職。大学時代、東日本大震災の被災地を取材として訪ね、そこで振舞った広島お好み焼で笑顔が生まれたことをきっかけに食に興味を持ち、オタフクソースに入社しました。食文化を通して広島を広めている点にも共感しました。好きな言葉は高杉晋作の辞世の句「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり」です。自分自身で物事をおもしろくしようというパッションがあったから、あれだけの行動ができたのだと思いますし、今の社会にも通用する言葉だと思います。プライベートでは2人の子どもの成長に目を細める日々で、週末はいろいろなところへ家族で出かけています。
小針 一風
2013年入社。営業として松山、東京を経て2022年より共創課へ配属。2024年より現職。京都出身で、調理師の母の影響もあり、西日本の食品企業を中心に就活し、そのなかでも、「モノをただ売るのではなく、食文化というコトを広げる」というオタフクソースの企業文化に感銘を受けて入社しました。営業時代からお客様の喜ぶ姿を見ることが原動力です。その一環として、さまざまな方にお好み焼を調理して提供することが好きで、それは共創室の業務にも役立っています。現在は単身赴任で、毎週末の家族との時間が楽しみ。子どもと遊び、ときどき釣りで英気を養い、ウィークデーの仕事とメリハリのある日々を過ごしています。
田中 亜紗美
2011年入社。工場・開発を経て、マーケティング部にて商品企画や販売促進を担当。2024年より現職。大学時代、農学部で畜産牛を育てる経験に感銘を受け、食に関する仕事の重みや大切さを感じました。オタフクソースは、企業姿勢に共感したことに加えて、面接の際に「私のことを知っていたのかな?」と思うほどフランクに皆さんが接してくれ、そのアットホームさに惹かれました。好きな言葉は、高校時代の吹奏楽部でスランプの時期にOBからかけてもらった「無駄な経験は一つもない」。当時よりも仕事を始めてから刺さることが多いですね。プライベートでは、ダンスや野球、ボルダリング、トランポリンなど、やりたいと思ったことをすぐに行動に移して自由奔放に楽しんでいます。