• 鉄板粉もの

“褒められる”ことによる感性変動をお好み焼づくりで検証
「ありがとう」でお好み焼はもっと楽しくなる
一緒につくって、一緒に食べる。お好み焼時間は食育時間

2025年04月09日

オタフクソース株式会社(本社:広島市西区、代表取締役社長:佐々木 孝富)は、「お好み焼づくり体験における褒めることの効果」について、慶應義塾大学 教授 満倉 靖恵氏(以下、満倉教授)と共同検証しました。

家族や仲間とホットプレートを囲み、賑やかに食べることのできるお好み焼。当社はそれを「小さな幸せ」の一つとして多く の方にお届けできたらと考え、「団らん」のシーンとともにあるお好み焼の普及活動に、長年取り組んできました。一方で、お好み焼の魅力は団らんだけではなく、「つくって食べる」楽しさと幸福感もあることに着目。これを可視化できないかと考え、2024年に、子どもたちの「お好み焼づくり体験における感性変動」について共同検証を行いました。(2024年9月11日 ニュースリリース)

「材料を切り、混ぜ、焼いてひっくり返す。もう一度ひっくり返して焼く」という工程のお好み焼づくり。そのおよそ15分間に感性値(ワクワク度、興味度、好き度、ストレス度、満足度)が豊かに動くことがわかりました。その際、親に褒められた後にはワクワク度、興味度が上昇していたため、「お好み焼づくり体験中に褒めることは、子どもにとってポジティブな効果を与えるのではないか」と仮説を立て、このたびはお好み焼をつくる工程で親がそばにいて褒めてくれる(褒めあり)場合と、親は横にいて見守るが褒めてくれない(褒めなし)場合におけるワクワク度などの感情変化を感性値として数値化し、その違いを検証しました。

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検証結果のポイント

〔1〕お好み焼づくり体験中に褒められる(褒めあり)とワクワク度、好き度が高まる
〔2〕褒められない(褒めなし)とストレス度は高い状態が続くが、難局では興味度が高まる
〔3〕満足度は「褒めあり」は後半に、「褒めなし」は前半に高まる
〔4〕ひっくり返す工程は全員がドキドキ、ワクワク。2回目のひっくり返しでは、「褒め」の有無により感性値が異なる
〔5〕お好み焼づくりは親子関係を良好に
〔6〕「見守られる」だけでも信頼感が醸成される
〔7〕褒められても(褒めありでも)、褒められなくても(褒めなしでも)お好み焼づくりは楽しい。感性値が最もポジティブに反応したのは、「ありがとう」という感謝の言葉

検証方法の概要

■調査対象:お好み焼を自分でつくったことのない、関東在住の10~12歳の小学生、男女10名
■条件:当社商品の「お好み焼こだわりセット」を使用して、生地を混ぜるところから始め、ホットプレートで焼き、 お好み焼を完成させる。
■方法:アクティビティ(調理体験と喫食)中の脳波計測と主観的評価、およびヒアリングによるアンケート 調理体験中は「褒めあり」と「褒めなし」にグループを分けて、喫食中は両グループとも「褒めあり」で親と一緒にお好み焼を食べている間に脳波を計測する。
■使用機材:感性可視化ツール「感性アナライザ」
満倉教授が約20年の研究実績により開発した「脳波から感性をリアルタイムに可視化するアルゴリズム」の技術を活用して、株式会社電通サイエンスジャム様と共同開発した機器。潜在的、直感的な情報(何となく感じる、気がついていない、言葉にできない)を抽出し、感性・気持ちを把握する。

※当検証結果を紹介いただく場合は、注釈として「オタフクソース調べ」とご記載ください。

満倉教授のコメント

このたび私たちは、親子でのお好み焼調理を通じた体験が、子どもの情緒や親子関係に与える影響について研究を行いました。「褒めあり」と「褒めなし」の2つのグループに分けて、調理中の脳波計測と主観的評価を実施し、調理体験の意義を科学的に検証しました。
その結果、褒めの有無にかかわらず、親が子どもに「感謝」を伝えることで、子どものモチベーションが高まり、安心感や達成感の向上に寄与することが分かりました。また、調理を通じて子どもの主体的に取り組む姿勢が促され、親子の信頼関係を大きく高めることも確認されました。
特に、「褒めあり」グループでは、親の積極的な声かけや感謝の言葉が子どもの安心感を高め、調理への興味度や満足度を向上させる結果が得られました。一方で、「褒めなし」グループにおいては、調理中の挑戦意欲や達成感が高まることが分かりました。また調理中に声をかけていなくても、調理後に親が感謝を伝えることで自己効力感が高まり、親に対する信頼感を強める効果が確認されました。親が見守りながら必要な場面でサポートを行い、適切に感謝を伝えることが、子どもが安心して成長できる環境を作る鍵であると考えられます。
この研究は、家庭における調理体験がもたらす喜びや成長の可能性を改めて示しました。「感謝」の言葉を通じて築かれる信頼関係は、親子だけでなく、私たちの日常生活にも多くの示唆を与えてくれるものだと考えられます。
感謝の気持ちを込めた調理体験を通じて、大切な人との時間をより良いものとしてください。

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満倉 靖恵氏

<プロフィール>
博士(工学)、博士(医学)。慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授。医学部精神神経科学教室 兼担教授。株式会社電通サイエンスジャムCTO。信号処理、機械学習、パターン認識、人工知能、統計処理などの技術を用いて生体信号や音声、画像から情報を抽出する研究に従事。現在は脳波と画像を扱い、社会に役立つ研究や医学との融合を中心に取り組んでいる。

検証結果の概要

    1. 1お好み焼づくり体験中に褒められる(褒めあり)とワクワク度、好き度が高まる

      「褒めあり」では、ほぼすべての工程でワクワク度と好き度が高く、お好み焼づくりを楽しんでいることがわかりました。親から肯定されることで、ポジティブな感情になり、積極性を高めた可能性があると考えられます。3

    2. 2褒められない(褒めなし)とストレス度は高い状態が続くが、難局では興味度が高まる

      褒められないことは、声をかけてもらえない状態でもあり、子どもたちは自分で考え、判断してお好み焼をつくっていきます。そのため、最初からストレス度が高い状態が続いています。しかし、難易度が高い「ひっくり返し」のうち、1回目はストレス度の高い状態にありながら、興味度も高くなっており、難しい工程に際し集中力を高めたことがわかります。そして、2回目は、1回目を自分自身の力で乗り越えたことにより自信につながったのかストレス度が下がっています。4

    3. 3満足度は「褒めあり」は後半に、「褒めなし」は前半に高まる

      満足度の変化にも違いがありました。「褒めあり」は1回目のひっくり返しから緊張感とともに満足度も高まり、挑戦していることを褒められながら、調理を楽しんでいることが感情に表れている可能性があります。
      一方、「褒めなし」は最初から自分の力で挑戦していることで自己効力感を得られたため、1回目の「ひっくり返す」という最も緊張が高まる工程をピークに満足度が上がらなかった可能性が考えられます。5

    4. 4ひっくり返す工程は全員がドキドキ、ワクワク。2回目のひっくり返しでは、「褒め」の有無により感性値が異なる
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      お好み焼づくり後のアンケートで「一番、ドキドキ、ワクワクしたところはどこですか?」という問いに対し、回答は「褒め」の有無に関係なく、「ひっくり返す」工程でした。
      ただし、その理由は異なり、「褒めあり」では「できるかなとドキドキした」「初めてひっくり返したから」などというコメントが多く、初めての挑戦や行動そのものに対する感情が、褒められるという肯定的なフィードバックによりさらに高まっている可能性が考えられます。「褒めなし」では「2回目は、1回目よりうまくできるといいなというワクワク感があった」「1回目はくずれることがこわく、2回目は上手に焼けているか不安だった」など結果に対する不安や期待が感じられます。2回目へのプレッシャーが影響している可能性が考えられます。

      「ひっくり返す」工程前後の感性値を比較すると、「褒めあり」では、1回目に褒められたことにより外発的動機づけが強まり、それが「期待された課題」としてプレッシャーとなって2回目にストレスが上昇したと考えられます(PICK UP①)。
      一方、「褒めなし」では2回目のひっくり返しの前にワクワク度が急上昇していています。1回目を自分の力で成功したことで「自分はうまくできる」という自己効力感が向上し、2回目への「挑戦への期待」が高まったと考えられます。しかし、ひっくり返した後は、その緊張によりワクワク度が低下し、ストレス度が上昇しました(PICK UP②)。7

    5. 5お好み焼づくりは親子関係を良好に

      お好み焼づくり前後の主観評価により、「褒め」の有無に関係なく、調理後に親子関係が良好に変化しており、「褒めあり」のほうがより良好になったことがわかりました。8

      • 主観評価について 子どもには「親子相互質問票」、親には「日本語版親子関係尺度」を使用しました。いずれも質問の内容は「親密さ」と「葛藤」に分類されています。子どもには、「親とは仲が良いと思う(親密さ)」「親に自分一人ではなにもできないと思われている(葛藤)」など21項目。親には、「私と子どもは愛情深く、温かい関係だ(親密さ)」「子どもと私はいつもお互いに争っているような感じだ(葛藤)」など15項目。いずれも「そう思う」から「そう思わない」を5段階で回答します。
    6. 6「見守られる」だけでも信頼感が醸成される
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      お好み焼づくり後のアンケートで、「今日の調理体験で親への印象が変わったか」の問いに、回答の理由として、「褒めあり」では「親とのコミュニケーションが増え、うれしいと感じた」といった内容が多く見られました。
      また、「褒めなし」では「お母さんのサポートを感じた」など、そばにいるだけでも自分を「見守ってくれている」と感じていたと思われる内容が多くありました。
      言葉にしなくても、愛情や信頼を感じられていたことがわかります。

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    7. 7褒められても(褒めありでも)、褒められなくても(褒めなしでも)お好み焼づくりは楽しい。 感性値が最もポジティブに反応したのは、「ありがとう」という感謝の言葉
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      お好み焼づくり後のアンケートでは、「またお好み焼をつくりたい」と全員が回答。お好み焼づくりで自分自身の成長や楽しさを感じ、モチベーションや積極性につながったことが考えられます。 褒められても、褒められなくても、お好み焼をつくった体験が子どもたちの感性を豊かにしたことが感じられる一方、最も感性を動かしたのは「ありがとう」という感謝の言葉でした。感謝されるという経験は自己肯定感を高め、子どもたちの成長にポジティブな変化をもたらすと考えられます。

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オタフクソース株式会社 研究室 主任研究員 斉藤 裕子のコメント

「褒めあり」の方がより良い結果をもたらすと予想していましたが、「褒めなし」でも、見守られるだけで信頼感を感じ、自身の努力で得た成功体験によって自己効力感を獲得する様子が見られました。この結果は、親の積極的な声かけだけでなく、適度な距離感を持って見守ることも、子どもの自信や主体性を育む要因となり得ることを示唆しています。 また、お好み焼調理体験は、食育の観点からも意義深いものと考えられます。調理を一緒に楽しみ、共に食べ、振り返って褒め、感謝を伝えることで、食事の楽しさや大切さを実感するきっかけとなるはずです。 「家庭で食育を」と言われても、何から始めればよいか分からないと感じる方も多いかもしれません。しかし、お好み焼調理は、親子で手軽に楽しめるため、食育の第一歩としておすすめです。

お問い合わせ先

オタフクホールディングス株式会社
広報部 鍵村

〒733-8670 広島県広島市西区商工センター7丁目4-27

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