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入社式を記憶に残る「忘れられない一日」にしたい
新入社員研修では「全力と協力」で同期の絆を培いたい

2025.4 | コーポレート

活動スコープ 入社式を記憶に残る「忘れられない一日」にしたい 新入社員研修では「全力と協力」で同期の絆を培いたい

Otafukuグループのさまざまな活動とそこに携わっている人をレポートする「活動スコープ」のコーナー。第二回は人事課の岩井慶子さんと髙田一慶さんにインタビュー。「声の手紙」「ハッチャー研修」「キャベツ農場研修」など、入社式や新入社員研修でのユニークな取り組みには、どのような思いがあるのか、お二人の同期としての絆は…。

入社式を「忘れられない一日」として
記憶に刻む「声の手紙」

―どんな入社式ですか?

岩井:辞令の交付や代表者の挨拶など、一般的なセレモニーに加え、2005年から続いている「声の手紙」という企画を大切にしています。社会に旅立つ、今のタイミングで感じるリアルな思いを、新入社員一人ひとりが言葉にして発表するものです。なかには、特技や歌など自由な表現もあります。
一度しかない人生の節目を「忘れられない一日」にしてほしいと思い実施しています。入社式には新入社員のご家族も招いておりますので、家族への感謝の気持ちを伝える新入社員が一番多く、感極まって号泣するシーンも見られます。ほかにもお世話になった方や、未来の自分に向けたメッセージなど、自由な表現から一人ひとりの個性を感じることができます。
私たちも「声の手紙」を経験した世代で、自分のことはもちろん同期が発表した内容は今でもはっきりと記憶に残っています。ご家族には、どんな会社なのかを伝えることはもちろんですが、共に働く同期や先輩がどんな「人」なのかを知ってもらう機会にしたい気持ちがあります。

髙田:ご家族に喜んでもらい、職場環境を見て安心していただきたいという思いと「おもてなしの心」も込めていますね。

岩井:その一環として、入社式後の懇親会では、従来の当社の調味料を使ったお弁当に加えて、今年はお好み焼課がお好み焼を目の前の鉄板で調理して、皆さんで分け合って食べていただきました。

学生から社会人へと気持ちを切り替え
同期の絆を培う新入社員研修

―新入社員研修はどのような内容ですか。

髙田:まずは広島県の江田島で3泊4日の合宿研修を行います。学生から社会人への意識の切り替えを目的に、ビジネスマナーの講習に加え、カッター訓練(手漕ぎの小型船を一致協力して漕ぐ研修)など「全力と協力」をテーマに共同生活を通して同期のチームワークや絆を養います。研修前、緊張で不安そうな表情をしていた新入社員が、研修を終える頃には仲良くなり、たくましい笑顔になっているのは感動しますね。

岩井:社会人になると、挨拶や返事という基礎的なマナーでも学生のときより求められるレベルが高いので、合宿研修の間に何度もレベル感を伝え、身につけてもらいます。

髙田:その後は社内基本研修が始まります。企業理念や会社の制度の講習などに加えて、オタフクらしい研修として「お好み焼研修」があります。当社はお好みソースを主力商品とし、お好み焼とともに歩んできた会社です。その一員としてお好み焼を知ることは、今後どのような部署に配属されたとしても大切です。お好み焼を焼けるようになってこそ、オタフクの社員としての自負も芽生えるはずです。
もう一つは「ハッチャー研修」です。「卵をふ化させる」という意味のハッチ(hatch)から、新入社員の成長を手助けし、羽ばたかせる役割を担う先輩社員をハッチャーと呼んでいます。まず各部署のハッチャーたちがそれぞれの部署の役割や仕事の内容を説明し、工場なども見学します。その後、新入社員はチームに分かれてハッチャーが提示した課題に取り組み、2カ月後に発表します。課題の内容は、「製品の製造から出荷までの一連の流れをまとめる」「特定の商品を題材に、1億円で展開できることを考える」など、その年ごとにハッチャーらが考えます。この研修を通して、新入社員はどのように各部署が繋がっているのかを把握し、バリューチェーンを理解します。毎年、自発的に取り組み、自ら先輩たちに質問に行くなど真剣な姿も見られます。

配属後もフォローアップを継続
新入社員の成長を感じられる機会に

―その後の研修はどういった流れになりますか。

髙田:社内基本研修を4月前半で終えると、次は社内外研修となります。自社の工場や、お好み焼店様、当社の製品を使用してくださっているお得意先様など、現場で現物に触れることでメーカーの社員としての知見を広げます。また、お好み焼には絶対に欠かせない、キャベツについて学ぶ「キャベツ農場研修」もあります。生産者様の指導のもと、実際に自分たちで植え付けを行い、その後は交替で栽培して、7月頃に収穫祭を行います。キャベツの特徴を生育から調理状態まで理解して、その内容を発表したり、子ども食堂で食育活動を行ったりします。

岩井:キャベツの特性を知って、お好み焼を熱く語れる人材になることを目指しています。体験型の研修を重ねることで、五感で理解する、協働を身に付けるという狙いもあります。

髙田:5月末に社内外研修を終え、6月から各部署への配属となります。配属後も9月までは月に1回のフォローアップ研修を行います。

岩井:9月頃になると、新入社員の印象は随分変わりますね。目線が切り替わっているというか、その職場の一員として当事者意識に切り替わっているので、私たちも教わることが多いです。

現場を知る、現場で知る
さまざまな学びが財産となる

―研修を通して学んでほしいことは何ですか。

岩井:社会人としては、配属された職場で経験することが本質的な学びになります。私たち人事課の役割としては、学生から意識を切り替え、成長する土壌をつくることだと思います。彼らの成長を願うからこそ、私はできるまでハッキリと言うようにしています。髙田さんは背中で語るタイプですよね?

髙田:私は気持ちを確かめながら伝えたいタイプですね。例えば、工場での研修の際に「どうして掃除や洗い物ばかりするんですか」と質問されました。研修の目的は、実際の仕事に触れることですから、このような単純作業も多くなります。でも、これらは重要な工程の一つですし、安全・安心な商品をつくるため、皆、真剣に取り組んでいます。仕事にはさまざまな工程や職種があることを理解し、その一部を体験できるのが研修だと説明しました。わからないことや疑問を正直に、素直に聞いてくれるのはうれしいですし、また、それは新入社員の今だからこそ、できることの一つだと思います。

岩井:実際に配属されると、お取引先様の工場の内部に入らせていただくことはもちろん、他部門の仕事をすることも稀になります。社内外で行うさまざまな研修は「境界の中に入る経験」という意味合いが強く、その経験はのちに財産になると思います。

会社全体で社員を育成する風土
仕事から学び、生活を豊かに

―配属後の研修体制を教えてください。

岩井:2年目・3年目・5年目まで階層別研修があります。定期的に接していると、社員の成長を実感します。3年目までは「仕事が思うようにできない」という悩みが増えますが、5年目を超えると自分だけではなく、部署や関わるメンバーへの視点が出てきて顔つきが変わる。その変化に驚くことがあります。やはり、入社して5年ぐらいまでは超えるべき壁がたくさんあるんだなと思います。そこをフォローしたいですね。

髙田:私自身もそうでしたね。初めて配属されたのは工場、その仕事がおもしろくなってきたら営業に異動になって。営業もやっと慣れて、このまま行くぞと思ったら人事部に異動。でも、仕事って部署が違っても全部つながっていて、前の経験があるからできることってあるんですね。点が線につながるというか。だから、もがくことも遠回りも無駄ではないと今なら思います。でも、若い頃は「最短距離で進みたい」なんて、思ってしまうんですよね。

岩井:もがいて前が見えない時期に、同期の社員や部署の先輩が声をかけてくれたり、研修で自分を見直したり、同期の成長に気づいてやっぱり頑張ろうと思ったりとか。当社には会社全体で一緒になって社員を育てているという社風があるから、最短距離を目指して焦る若い人に対して、遠回しに「どれもが必要な経験だよ」と教えてくれる感じがありますね。

髙田:当社の人財マネジメントポリシーには、「ありたい組織像」と「ありたい人財像」が設定されています。会社は、社員が働き続けたいと思える場所を追求し続ける、社員も周りの人や会社から「働き続けてほしい」と思われる人を目指して成長していく。それぞれが自立した関係を目指しています。

岩井:その考え方に沿って、年次別の研修だけでなく、通信教育や外部セミナーなど、幅広く学べる場や制度を用意しています。自発的に学ぼうとする意志を尊重して「経験や学びの場を用意する」という考え方が経営陣にありますね。

髙田:最近、経営層から聞いて印象的だったのが「仕事は手段だ」という言葉です。社員それぞれの生活があって、その中の一部に仕事がある。生活を豊かにするために仕事から学ぶという意味ですね。本当にその通りだと思いますし、先ほどの「最短距離で進みたい」の答えはここにあると思います。

多様性と自立的キャリアの時代へ
社員が活き活きと働き続けられるように

―お二人も同期入社ですね。お互いのことをどう捉えていますか。

岩井:髙田さんは情に厚くて、思いが豊かで人徳のある人だなって思っています。

髙田:岩井さんは、いつでも冷静で的確な人です。部署が違うと同期会以外で顔を合わせることがない時期もありましたが、2年前から同じ人事課に配属になって、やっぱりホッとする関係ですね。同期ってフラットで、何でも言い合える、かけがえのない仲間だと思います。

岩井:自分では自分自身の良さがわからないことが多いので、時々、お互いを褒め合う会をしています。笑

―これからの目標を教えてください。

髙田:研修で新入社員の成長する姿に触れれば触れるほど、自分自身も切磋琢磨して成長したいという気持ちが強くなっています。私が成長することで、新入社員に伝えられることも増えると思います。そこで、キャリアアップを目指す一環として、資格取得の勉強もしています。

岩井:人事教育を取り巻く環境は、今後ますます変化すると思っています。生き方も多様になりますし、自立的キャリアの時代として社員が自分の将来のキャリアを、自分自身で考えて選んでいく時代にもなります。さまざまな変化を受け入れながら、社員の皆さんが活き活きと働き続けられるような施策を考え続けていきたいです。

オタフクソース本社内の社員食堂「◯キ食堂」にて。同期として切磋琢磨するおふたりに、入社式と新入社員研修、オタフクソースのありたい社員像についてお話をお聞きしました。
岩井慶子
人事部 人事課
2007年入社、人事部配属後、2度の育児休業を経て2021年SCM部へ配属。2022年より現職。 テレビ番組の影響などで「ものづくり」に興味を持ち、製造業中心の就職活動を経てオタフクソースと出会いました。入社時は、まさか人事に配属されるとは思いませんでしたが、その後は一念発起して勉強し、社会保険労務士の試験にも合格しました。人事は考え方も生き方も異なる、さまざまな社員と対話する仕事です。上司から教わった「熱意は人を動かす」という言葉を信じて、熱意を忘れないように取り組んでいます。現在、9歳と5歳の娘がおりますので、子育てが生活の中心の日々です。友人らと家族ぐるみでホームパーティーを楽しむこともあります。
髙田一慶
人事部 人事課
2007年入社、製造課配属。2009年から福岡営業所、2015年から中国支店にて家庭用商品の営業を担当。2019年より現職。 地元広島の魅力を発信できる会社を中心に就職活動をしていました。学生時代にサッカーをしていたこともあって、食の大切さも感じており、以前から商品に触れる機会も多かったオタフクソースを志望しました。工場・営業・人事と異なったタイプの仕事を経験したことは大きな糧になっています。最近は「人間万事塞翁が馬」という言葉に重みを感じ、将来訪れる幸せを信じて前向きに行動するように努めています。 身体を動かすことが好きなので、曜日を決めて筋トレやサッカー、ゴルフなどを、仲間とのコミュニケーションも兼ねて続けています。